わが社の未来をつくるのは社長の仕事
一倉経営学の結論は、「社長自ら取り組み、総指揮を執れ」というものです。
新しい商品や新しい技術は、わが社の未来をつくります。わが社の未来をつくることを決して人任せにしてはいけません。したがって、経営トップ自ら取り組むなり、陣頭指揮を執るなりしなくてはならないというわけです。
今日の大企業も、創業時代にはトップ自ら商品開発にあたっています。松下幸之助は二段ソケットを開発するなど、創業当時は技術者として活躍していました。トヨタグループの創業者・豊田佐吉も発明家であり、常に開発の中心にいました。ソニーの創業者・井深大と盛田昭夫の2人も技術者として新商品を自ら開発していました。ホンダの本田宗一郎も同様です。
いずれも、会社が大きくなってからは、多くの優秀な技術者が開発するようになりましたが、それでも新製品開発に関しては、重要案件として総指揮を取り続けています。
幸福の科学大川隆法総裁も、インスタントラーメンの事例を交えてこう説明しています。
「例えば、日清食品はインスタントラーメンなどをつくってきましたが、ああいうところでは、社長が自宅の庭に実験室のような小屋をつくり、自ら、毎日毎日一日中、一生懸命、「どんな出汁をとったらよいスープができるか」というような研究ばかりしていたこともあります。
「どういう出汁をいちばんおいしいかと感じるか」ということなど、「味のよさ」の研究をしているようなところでは、トップ自らが研究開発の陣頭指揮をしなくてはならず、「下の人が適当に考えてくれ」と言うだけでは済まないこともあります。
このように、売ることだけではなく、研究開発もトップがやらなくてはいけない場合があるのです。」(『危機突破の社長学』P-129~130)
わが社の未来をつくるものについては、トップの責任になってくるので、「売れるものをつくれ」と部下に命ずるだけでは成り立たないところがあります。特にメーカーや研究開発型の企業は、トップ自ら責任を取っていく姿勢を持つ必要があります。