弱者の戦略 強者の戦略
ランチェスター戦略
ランチェスター戦略は、経営においては市場戦略として活用できる。
一倉先生は、ランチェスター戦略をこう定義づけた。
ランチェスター戦略とは、市場を細分化し、優先順位を決め、これに従って、一つひとつのテリトリーまたはチャンネルに、敵に勝る戦力を投入することにより、その地域またはチャンネルの占有率を高めていく戦略である。
市場の細分化は、「自社の意志で決められる」という点にある。敵が弱ければ大きく、強ければ小さく決めるのがコツとなる。そうして細分化されたテリトリーに、敵に勝る戦力を投入するのである。ここで言う戦力とは、営業で言えば「訪問回数」などである。
さらに、ランチェスター法則を踏まえて、弱者と強者の具体戦略を次のように説明した。
弱者の戦略
1 大手の苦手な商品、すなわち、大手よりグレードの高い商品、プロ向けの商品、管理・取扱いに手間のかかる商品(例えば生鮮品)、ファッション性の強いものなどにする
2 サービスで勝負する。
大手は、概して、きめ細かいサービスは苦手なところが多い。
3 大手の手の届かない地域、持っていない商品でキャンペーンを行う
4 作戦地域を限定する
5 原則、値引きやエス売りはしない
6 自社のすぐ下の敵を叩く
7 他社と組んで戦力を増加し、狙った敵を攻める
強者の戦略
1 商品力を充実する
品揃えなど商品ラインナップは大手の得意とするものである。
2 サービスの優先性を確立する
3 キャンペーンの強化
4 作戦地域の拡大
5 価格政策は、プライスリーダーの地位を利用して占有率や収益率を高める
6 ナンバーツーを叩く
7 敵を陣営に引き入れる
8 部分的な休戦やタイアップ
9 占有率が圧倒的な場合、弱小業者の生きる道を残す(窮鼠猫をかむ可能性を考慮し、被害を最小化する)
弱者が強者のやり方を マネ して成功したためしはない。小さな会社は負け戦になり、儲からないケースが多いのです。
この時の大事なポイントは、弱者は「弱点を直そう」と考えるより、「長所を伸ばす」方向に徹底することです。
「弱者だから、規模の小さな会社だから小回りがきくのだ」と胸を張る小さな会社の社長がいるが、本当に規模の小さな会社のほうが変化への対応が早いのか、大きな会社のほうが早いのかは、一概にはいえない時代になっています。
変化への対応の「善し・悪し」は、会社の規模の大小ではなく、社長の「決断と実行」によるところが大きいことを知ることです。
弱者がやっていけるかどうかは、社長の営業力にかかっています。
(1)アポをとらないハッピーコールを継続的に実行する
(2)顧客には、社長1人で会う
(3)顧客の要望だけを聞く
(4)訪問は繰り返し継続的に行う
(5)社長の日程の半分は外回りに使う
(6)話す時間は10~15分以内に
弱者がナンバーワンを目指すなら、地域、得意先、商品の順番で差別化を考えることです。それが一番簡単なやり方だからです。
ただし、多くの会社が、商品で差別化しようとしますが、これはお金や時間がかかる割に効果が出づらく困難です。
それよりも、一位になるまで市場を細分化することです。
商圏を半径30 分を目安にしてみる。
宅配業者は密集したエリアを狙います。
1日200件、年末年始は600 件のお宅を訪問するのです。
そのために、ドライバーの担当エリアは右折しなくて済むルートに集中させます。(右折は、左折に比べると時間がかかる)
セブンイレブンも全国展開をしません。
あなた(会社)は、あれもこれもやらないことです。
限られた現有資産を有効に活用するためにも、手を広げすぎないことです。
今の環境で収益を上げるには
・機械でできることは機械に任せる
・営業プロセスを一人の営業パーソンに任せっきりにさせない
・マンパワーに頼った営業から脱却する
・あなたが「売りたいモノ」からお客様が「欲しいコト」(「売る」から「売れる」)
・現有資源を最大限に活用する
・異業種のツールを活用する
・コラボレーションの活用(異業種との連携)
・社内業務すべてを内製化しない(アウトソーシング)
扱う商品で競合他社との差別化をすることが難しい中、同業他社と同じことをやっていては埋没してしまうだけです。
地域を限定して、何か一つでオンリーワンを勝ち取ることです。
このことが、結果としてクチコミや評判などで他の地域にも波及し、好循環を生むのです。
あなたの会社の売りを明確にすることです。
あなたの会社が「なくなったら困る」と言われるようになることです。
あれもこれも売らないこと。
あなたの会社の営業スタイルはデパートではなく、専門店スタイルにすることです。
そうでないと、歯止めの利かない価格競争に陥ってしまいます。
こんなことはあなたなら既に承知のはず。
どこかの時点で営業のやり方を変えることが必要です。
営業マンが竹槍で戦うといったことは、会社が無防備状態にあることを意味します。営業マンが情報武装して戦うためにも、会社(組織)として今一度情報について再確認が急務です。
弱者としてどのような戦略や戦術を講じていけばよいのでしょうか。
なにを(商品・サービス対策)
まず初めに考えることは、『何から売る』のかです。
売る商材は、多くの場合、営業マンの好き嫌いに関わらず、決まっている場合がほとんどです。ですから、その場合は、その商材を売るしかありません。
ですが、基本的な考えとしては、「売りたいものは、後で」です。
あなたの商材の中でも、売りやすいもの売りにくいもの、お得なものそうでないものがあると思います。
まず、売りやすいものから、売っていくのです。(フロントエンド商品:集客商品)顧客化してから、アップセル、クロスセルで本当に売りたい商材を売っていきます。(バックエンド商品:本命の利益商品)
そのお得なものというのは、商材の場合もあるし、商品周辺の情報であっても良いのです。
つまり、顧客の囲い込みから始める場合もあるのです。
例え、利益を生むものでなくても、無料でも良いいのです。
ほとんどの人が今扱う製品・商品・サービスで勝負せざるを得ません。
画期的な新商品や新サービスを自社で開発するのは至難の業であり、実際に新商品を編み出しても、すぐにマネされるのが世の常です。
大企業が参入していない業種、商品・サービスが狙い目です。
「強者がやらない業種・商品」の切り口で探してみる。
たとえば、市場規模は小さいが一定の需要があるにもかかわらず、業界のなかでは見過ごされていて、改良を加えることで新たな商品・サービとして売り上げアップにつながるのに、だれも手をつけないなどの「ニッチ商品」は狙い目である。
やってはいけない商品対策として
・商品の数を増やさない
商品の数が多いと、売るチャンスが増えて、売り上げも利益も上がるような気がするが、カが分散してどの商品も弱くなってしまう。
なんでも扱うのは強者の戦略であって、弱者は扱う商品を少なくし、業種の幅も狭くする。あれもこれもとやらず一つに絞る。
・非関連事業の多角化
商品やサービスの数を増やそうと、自社に関連のない多角化は最悪の事態を招きかねないので、絶対にしてはいけません。
商品の数と同じく、事業の数を増やしておけばリスクの分散に繋がり、会社の経営が安定すると考えがちだが、本業とまったく関係のない事業に手を広げすぎている会社の業績はどこも悪く、倒産率も非常に高い。
どこに(商圏:エリア)
商品の良し悪しよりも、どこでだれに、どうやって売っていくかというエリアと客層・営業のほうが重要です。
お客が多いところは競合相手も多いのです。
人口が多いところがよいとか営業エリアは広いほうがよいというのは、競争条件が有利な会社にとってはよいが、カが弱い小さな会社にとっては逆。
人口が多いところで営業することはリスクが大きく、競争相手がたくさんいる都心部での営業は不利になる。
たとえば、エリアを半径30分を目安に絞ってみる。
だれに(客層)
・売る相手を絞る
・客層をむやみに広げない
「うちはなんでもやります」のスタンスが一番よくない。
弱者のなんでもやりますは、お客さんからすると、「何をしている会社」で、「なにを得意としている会社」なのかがわからないから集客が難しくなるのです。
対象が不特定では、だれに売ったらいいかわからなくなってしまいます。
「うちは○○専用・専門」、「うちは○○限定」とすると売り先が見え、競合が少なくなってお客様が見えてきます。
相手が企業の場合と個人とでは営業のやり方がまったく違ってきます。
個人に売る場合も、男性に売るのか女性に売るのかでまったく違います。
企業の場合も、相手がメーカーなのか、卸なのか、大企業なのか中小企業なのかによって、それぞれ手法が違ってくるのです。
客層を広げたい気持ちもわからなくはないですが、それは強者のやり方。弱者のあなたは客層を絞って営業しなくては成功は難しい。
「だれにでも売る」は強者の戦略であって、弱者は客層を絞ることです。
どのように売る(営業)
会社の粗利益はお客様からしか生まれません。
したがって経営の目的は顧客づくりです。
経営を安定させるためには顧客を増やし、市場占有率を高めること。
それには「なにか」で一位(オンリーワン)になるを目指すのが早道なのです。
多くの中小企業が、商品で差別化しようとしますが、これはコストや時間がかかる割には効果が出づらく困難を要します。
他社がやらないこと、できないことを徹してやりましょう。
その一つにプレスリリースがあります。
中小企業にとって、マスコミに取り上げられるメリットは大きいです。
良い物だから売れるのではなく、良い物のように思えるから売れるのです。
「知っている番組で取材された商品・サービスなら・・・」と購入したこともあるでしょう。
大きなコストをかけてマス広告で、ターゲットに訴求できない中小企業にとっては、マスコミを活用することを経営戦略に入れるべきです。
報道の基準は、企業規模ではなく、ニュース価値です。