経営戦略の類型化
これまでのアプローチは2種類に大別されている。
1種類は「ポジショニング・アプローチ」と言い、企業外部の環境要因(産業構造や競争相手などの要因)を分析することで、企業の優位性を築くことができる業界・市場内の「位置づけ」を見出す考え方を指す。
もう1種類は「資源アプローチ」で、企業の競争優位を自社内部に蓄積した経営資源や諸能力に求める考え方を意味する。
ポジショニング・アプローチは、「分析型戦略」の研究と呼ばれ、アンゾフの研究、BCGのPPMの開発、およびポーターの研究はこの類型の研究に分類される。
この分析型戦略研究の特徴として次の5点が指摘されている。
・企業を物理的な経済主体と見なし、企業行動は経営戦略と一致するという前提がある
・企業を市場における一個の「点」と見なし、戦略の決定は「全知」の経営者1人の専有物である
・決定された戦略は、組織とその構成員の各個人が機械的に遂行するという前提に立っている
ここでは、環境―戦略― 組織―個人の間に連続的な整合関係が重視される。
・経営戦略は正式的な戦略計画としてプログラム化される
組織の中で統合的な行動を保証するために戦術や実行マニュアルにブレークダウンされる。
・経営戦略が規範的性格をもつため、戦略計画からの乖離は厳しくコントロールされる
資源アプローチは、その根源が「プロセス型戦略」と呼ばれる研究に由来する。
プロセス型戦略論の形成は1980年代後半になるが、その萌芽期は1970年代後半に遡ることができる。
プロセス型戦略の研究の主な特徴として次の4点が挙げられる。
・経営戦略が企業と環境との相互作用の中で、活動するプロセスから形成されること
・経営戦略が経営者の個人的な判断ではなく、組織 全体の相互作用のプロセスから生み出されるものであること
・戦略の策定と実施がダイナミックな相互依存のプロセスの中で進化していくこと
・企業活動のプロセスの中から生まれる創発的な行動に注目すること