天下り先を作りその報酬も積立金から「横領」

国民が納めた厚生年金保険料約540兆円が政府の使い込みでなくなっている

 これまで、老後の年金に備え、毎月支払ってきた保険料が厚労省で積立てられていると考えている人は少なくない。しかし、いま支払っている厚生年金保険料は、将来、自分に戻ってくるのではなく、現在の年金給付者に支払われている。

これを賦課方式という。

 従って、保険料をそのまま積立てていれば、積立残高は約670兆円あるはずだが、そのほとんどは使ってしまっているので、現在の残高は約130兆円しかない。その差額の540兆円はもはや国民の元には返ってこないお金なのです。

 しかも、この積立金は年々減っており、近い将来には底をついてしまう。これは、年金が実はすでに破綻しているということを意味しているのではないでしょうか。

 

グリーンピアの閉鎖やGPIFによる運用の失敗

 日本の年金制度はスタート時は積立方式で、途中から賦課方式に変わった。以後、毎年の給付分は、同時代の現役世代から集めた保険料で賄えばよいことになったため、それまで国民が積み立てた多額の積立金が余った形になった。この積立金は国民に年金として給付するためのものであり、当然、国民に帰属する財産である。

 ところが、あろうことか、政治家や官僚は、これが自分たちの自由になる税収であるかのように、年金以外の用途に使ってきた。この積立金に寄生する天下り特殊法人をたくさん作り、グリーンピアなどの保養施設を建設して浪費してきた。その額は約6兆4千億円。

 一例をあげれば、数年前に大きな問題になった「グリーンピア」がある。これは、厚生労働省が全国13ヵ所に巨大な保養施設として建設したが、どれも巨額の赤字を出して二束三文で叩き売られた。

厚生年金会館、健康福祉センター(サンピア)、厚生年金休暇センターなど、全国にある福祉施設や特殊法人や独立行政法人など、関係団体がいっぱいある。

 これらの関係団体は年金積立金によって運営され、役所のずさんな商売によって巨額の損失を出し、ほとんどが閉鎖か民間に売却されている。

 私たちが老後に積み立てていた積立金が800兆円もの「積立不足」となり、残った170兆円の多くが「戻ってこないお金」になっているのです。

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