宙に浮いた年金

 今更ですが、「宙に浮いた年金」を振り返ってみましょう。

 1997年に基礎年金番号制が導入された。発足当時の年金番号保有者は約3億人分あった。このような数字になった原因は、同じ人物が複数の年金番号を持っていたからである。複数の番号を持つに至った理由は、年金番号をそれぞれの年金が付与していたこと、被保険者側の問題として、会社を替わっても番号を引継がずに新に厚生年金に加入したこと、学生が1号被保険者のまま就職した時点で新たに社会保険に加入したことになる などであった。このようにして社会保険庁がまとめ上げてみると、3億件になっていた。

 基礎年金番号制発足時の3億件から上記の被保険者、受給者の合計約1億件を差し引くと2億件であるが、複数の番号保持者を10年掛かって調べ上げ統合できたものが1億5千万件、残った不明分が約5千万件となり、これが世に言われる「宙に浮いた年金」とされたのです。

 

調べても判らない原因

 まず、最初は紙の台帳に手書きすることから始まったが、機械で処理するようになった時点でカナ表示で処理をしていた。

 日本人の名前は読みにくいが、これを充分確認せずにカナ変換したために調べてもわからないものが沢山できたのである。

  例えば  『良子』 → 「ヨシコ」「リョウコ」  どちらとも読める。

 これらの問題は申請書類にルビを打たせることや、住所、生年月日を確認するために戸籍抄本などを添付させればすべて解消したのに、厚生年金では住所要件が必須でなく居所で良かったことや、生年月日も本人の申告をそのまま登録していたので調べようがない件数が多く存在したのです。

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