生命倫理上の論議を呼んでいる分野

脳死臓器移植

 「脳死は人の死ではない」という事例や科学的な証拠が相次いで指摘されている。

再生医療

 自分の細胞を培養・増殖して病気治療に役立てる。成人の体から採る体性幹細胞と、受精卵を破壊して作り出す胚性幹(ES)細胞を利用する 2つの型がある。

 ES細胞のもととなるクローン胚を子宮に戻せば クローン人間 誕生につながるなど、倫理的な是非が論議を呼んでいる。

安楽死・尊厳死

 患者が自分の意思で終末期の肉体的苦痛を避け、安らかな死を迎える消極的な安楽死は一般的に許容されている。また、本人が事前に過度の延命治療を拒否して積極的に死を迎える尊厳死が注目されるようになっている。

着床前診断

 体外受精でつくった受精卵の遺伝子を子宮に戻す前に調べ、筋ジストロフィーなどの遺伝病の有無を診断する。生命の選別が懸念されている。

非配偶者間の人工授精

 第三者の精子や卵子で体外受精し子供を産むこと。子供の遺伝上の親を知る権利も論議となっている。

代理母

 アメリカなどでは代理母が一つのビジネスになっており、不妊に悩む日本の女性タレントが代理出産を依頼して話題となった。

中絶胎児利用

 中国で中絶胎児の細胞を脊髄損傷患者に移植する手術を行っており、日本人も渡航手術していることが明らかになった。

遺伝子治療

 がんやエイズの治療法として研究段階にある。

 

生命倫理の基礎には霊的知識が必要

 新たな生命倫理を考えていくうえで基盤となる考え方とはどういうものでしょうか。

1 人間には永遠の生命が与えられている

 第一に、人間には永遠の生命が与えられ、霊的存在としてあの世とこの世との間を転生輪廻しているという知識が大前提となる。幸福の科学大川隆法総裁は、『神秘の法』で、「人間は、長年、霊として生活しているのであり、それがほんとうの生活なのです。ただ、長年、霊として生活しているうちに、ときどき、地上の世界が進化して変わってくるので、時代が変わったときに地上に生まれます」と指摘された。

 この「常識」が見失われ、人間機械論や医学上の唯物論が広がっているために、様々な混乱が起きている。

2 人は魂修行のためにこの世に生まれてくる

 生殖医療では、命の選別につながる出生前の遺伝子診断や、第三者の女性の子宮を借りて出産する代理母などの技術が論議を呼んでいる。

 人間の誕生を考えるうえで忘れてはならないのが、人は魂修行のために家族や職業、人生上の課題などをある程度計画し、この世に生まれてくる。先天性の重い病気や障害をあえて予定している場合もある。ゆえに、こうした生殖医療には許される限度があると考えるべきです。

3 安らかにあの世に旅立つことは人生最大の幸福の一つ

 死とは、この世での魂修行を終え、本来の世界であるあの世へと還ることにほかならない。このため、心安らかにあの世に旅立つことは、人間にとって最大の幸福の一つと言ってよい。

 脳死臓器移植が問題なのは、脳死状態の提供者が手術の痛みに驚愕し、「安らかにあの世に旅立つ権利」が大きく侵害されるためです。

 

 「自分の思う通りに死にたい」という願いに共感する人たちもいるが、尊厳死や安楽死の是非を問うには、人間の本質は魂であるという霊的人生観を踏まえる必要がある。人間はどのような人生を送るのが自分の魂を磨くために最適であるか、生まれる前に予め計画を立てており、その「問題集」の中に病気の計画を入れてくる場合がある。

 また、過去世の問題をカルマとして持ち越している場合、病気を経験することがカルマの解消になることもある。たとえば、霊能者のエドガー・ケイシーは、病気の原因をリーディングする中で、「ポリオにかかり車椅子生活をしていた人が、古代ローマ帝国時代、大競技場でキリスト教徒が残虐に迫害されているところをせせら笑っていた」「目に障害を負った人が、過去世で兵士として敵の目を突いた」などの事例に直面している。本人は病気に苦しむが、「他者を傷つけた」という魂の罪悪感を解消していることになる。カルマを解消できなければ、来世に持ち越しになり、もう一度苦しみを味わうことになってしまう。

 このように、病気は必ずしも一方的に本人を襲い、害するものではない。人生の問題集の一つとして、大きな意味がある。過去世や来世まで含めて考えれば、原因・結果の法則は貫かれている。また、人間の肉体は機械と違い、病気を治す力もある。余命宣告を受けていても、反省によって心の傾向性が180度変わったり、信仰の奇跡によって回復することがある。

 尊厳死についても、苦痛や家族の負担を考えると理解できなくはないが、霊的視点やカルマの法則を踏まえたならば、違う結論になっていたのではないかと考えざるをえない。

 霊的真実を知らない人が、魂が肉体から離れる前に臓器を摘出されると、生きたまま体にメスを入れられるのと同じような恐怖と激痛に襲われ、あの世への安らかな旅立ちが妨げられてしまう。この真実を広め、臓器移植で苦しむ犠牲者を減らさなければいけない。移植を希望するような重病の方のためには、再生医療の技術の確立が必要です。

 これからの時代、医療はますます進歩していくことが予想される。それを支え、正しい方向へと導くことができる霊的な知識、宗教的真理こそが、これからの時代の生命倫理を考える上での基礎となる。

脳死と臓器移植 へ

「仏法真理」へ戻る