再生医療

 再生医療とは、生まれつき、あるいは疾病・不慮の事故・加齢に伴い、欠損・損傷・機能低下した組織や臓器を、患者の体外で培養した細胞や組織を用いて修復再生し、機能を補完する医療です。

 心臓でいえば、心筋梗塞などで部分的に壊死した心筋は元に戻らない。これが死につながる要因です。ところが、その心筋の復活を可能にしようというのが再生医療です。自分の体内から取り出した細胞を培養・増殖させるなどして、傷んだ臓器や組織そのものを再生させるもの。いわば、「自分で自分を治す」医療です。

 不治と言われている病気や怪我も治る可能性が生まれ、複雑な仕組みの臓器再生も夢物語ではなくなりつつある。すでに皮膚や骨などの再生は実用化されており、現在、すい臓や肝臓などの再生に関する研究も盛んです。再生医療の研究が盛んな背景には、未知の分野への挑戦や患者救済への使命感と共に、脳死臓器移植に対する歯止めへの期待がある。

 心臓移植はどうしても他人の不幸を待つ形の医療になってしまう。仮にそうでないとしても、臓器の需給のバランスが取れないのが実情。その点、再生医療の役割と使命は大きい。

 厚生労働省は再生医療について次のように定義しています。

1 患者の体外で人工的に培養した幹細胞等を、患者の体内に移植等することで、損傷した臓器や組織を再生し、失われた人体機能を回復させる医療

2 ないしは、患者の体外において幹細胞等から人工的に構築した組織を、患者の体内に移植等することで、損傷した臓器や組織を再生し、失われた人体機能を回復させる医療

 再生医療は、人間の体に眠っているこの力を引き出すものです。しかし、それは科学の進歩だけがもたらすものではない。時代を超えて語り継がれる神話のなかにも、現代人が忘れ去った人体再生の神秘が伝承されてきた。人間の霊的な側面に目を向けたとき、医学は唯物論の限界を乗り越え、新たな可能性が開けてくる。宗教と科学を融合させてこそ、人体の神秘の力を引き出す未来の医療が現実のものとなる。

最新の科学技術と霊的生命観の融合

 エジプトの古代神話では、エジプト全土を支配したオシリスの死後、王位継承を巡り、オシリスの弟セトと息子ホルスが神の法廷で激しく争う様子が描かれている。あるとき、セトは木陰で眠っているホルスを襲い、彼の両目をえぐり取ってしまう。セトの追撃から身を隠しているホルスを見つけた女神ハトホルは、家畜のガゼルから乳を搾り、それを垂らしてホルスの目を再生させる。愛と癒しを象徴する女神ハトホルを崇拝して建てられたハトホル神殿は、療養施設を備えており、癒しの奇跡が起きる場所とされていた。当時、医師を兼ねていた神官たちは、この神殿で様々な秘術を執り行い、病に苦しむ人々を癒し、けがで失った体の一部を再生することさえあったという。

参考

 神話の世界で伝えられてきた人体再生術。その秘儀がほぼ4千年を経た現代において、「再生医療」として蘇った。この分野では、新たな発見が相次ぎ、夢の人体再生が現実味を帯び始めている。

体の再生

再生医療のメリット

 ◎主に自分自身の細胞を使うため、拒絶反応が起きない。

 ◎自分自身の細胞が持つ再生力を活用する。

 

 再生医療の具現化に向けて、平成25年11月に再生医療等安全性確保法と、薬事法改正法(医薬品医療機器等法)が制定されました。旧薬事法の下では、日本の再生医療開発における薬事承認は3件のみにとどまり、海外特に欧米の開発競争に立ち遅れていましたが、新薬事法では再生医療の実用化に向け、従来の「医薬品」「医療機器」とは別に新たに「再生医療等製品」というカテゴリーを設け、一定数の有効データが得られれば販売認可が下りるよう改正しました。再生医療等安全性確保法と薬事法改正法は、平成26年11月25日に施行され、最短2年で再生医療の実用化が可能となりました。  

 臓器移植が必要なくなる

再生医療の将来性

 経済産業省は、再生医療産業の世界市場規模は2012年時点の1000億円程度に対し、2020年に1兆円、2030年には約12兆円に達するという試算を発表しています。国内市場規模では、2020年には950億円、2030年に約1兆円に達すると見込まれ、細胞の培地や、低温輸送、分析機器など再生医療周辺産業においては、世界市場規模で2030年に5.2兆円、国内市場規模で5500億円に拡大する見通しとなっています。

 再生医療には、死亡胎児からの細胞の採取の問題や、予期しない細胞への分化の可能性などのほか、クローン胚からクローン人間が生まれるのでは、という懸念も残っている。だが、脳死臓器移植に代わる医療として可能性は大きく、人工心臓とともに その期待はますます高まっている。

 従来の対症療法に対し、欠損・損傷した臓器を再建させることで、疾病や損傷への根治療法が可能となり、患者や高齢者、障害者の生活の質(QOL:Quality of  life)が格段に向上し、日常生活の自立が可能となり、家族の看護・介護負担も軽減されます。医療分野にとどまらず、産業構造、社会構造の変化をもたらすことが期待されています。

 従来の医療では、生まれつき、あるいは加齢や疾病、不慮の事故で組織や内臓の機能を失った場合それを補てんする対症療法を主としてきました。ひとたび発病、受傷すると、対応する治療法はあるが、闘病生活が長期間に及ぶため、生涯にわたって投薬治療や人工透析、ペースメーカー、人工関節などの医療機器、医療器材に依存せざるを得ず、患者の生活の質と自立が制限されてきました。 闘病が長期化することにより、患者本人や看護・介護をする家族は離職をせざるを得ない状況となることもあり、経済的負担、精神的負担も社会問題化しています。医療費も増加の一途をたどり、看護業界や介護業界の人材不足も引き起こしています。根治療法となりうる臓器移植は拒絶反応や感染症のリスクがあるため、術後に免疫抑制剤の内服が必要となるうえ、ドナーが絶対的に不足している現状から、従来の医療にかわる標準的治療としては未だ確立していません。

ES細胞

iPS細胞

体性幹細胞

STAP細胞

 iPS細胞もES細胞も万能性を持つため、再生医療への応用が期待されている。人の病気は、自分の細胞に異常が起きるために起きるが、もし異常が起きても、これらの万能細胞を利用して、新しい細胞に置き換えたならば、元通りのからだに治すことができる。

 ESの細胞や iPS細胞などの研究がさらに進めば、将来的には臓器を作ることもできる。実用化できれば、問題となっている臓器移植の問題なども解決する可能性が出てくる。

 人間が本来持っている能力を引き出す再生医療が発達すれば、やがて臓器移植が必要なくなる時代がやってくる。

 再生医療では、人間の細胞を使うが、その細胞の種類や作られ方に関して、さまざまな議論が起きている。

 人工心臓や再生医療など医療技術の進歩と人間の幸福との関係をどう考えていくべきでしょうか。

 繰り返し手術を受けて臓器や組織を取り替えても構わないと考えるなら、人工的に作られた臓器は、確かに長い生命を与えてくれます。しかし、それが本当によい人生であったかどうかは別問題です。人間の幸福は、「この世の人生が永遠に続くものではない」と知ることで高められるものだと思います。

 人間の罹患した臓器などの部分を機械のパーツを取り替えるように、新しいものに取り替えることがでるようになれば、再生医療に革命が起きる可能性はあることでしょう。しかし、知っておいてほしいことは、人間は機械ではないということです。人間は仏によって創られた存在であり、魂が人間の本質であって、肉体は魂の乗り物にすぎないということです。このような医療は、あくまで肉体の苦しみを取り除き、癒すための医療であって、心そのものを癒す医療ではないということです。もちろん、体を癒すことで心も癒える場合もあることでしょう。その意味でこのような再生医療の進歩は歓迎するものです。ただ、このような科学的医療が、最近クローズアップされることも多いクローン技術として、一人歩きをしていかないか心配な面があります。本来の人間の持っている自然治癒能力を最大限に発揮できる信仰心を高めていくことが大事なことではないかと思います。

 信仰によって癌や難病が治ったというのは日常的に起こっています。人間には病気を作る力もありますが、たいていの場合、その病気を作ったのは自分自身の心であるので、天上界にいた時の本来の明るい心を取り戻すことでほとんどの病気は回復していくのです。

 最近では、信仰心によって奇跡的治癒能力が高まることが医学的にも認められつつあります。そのような能力が人間には本来備わっているのです。  

 幸福の科学では、病気の原因の7~8割は憑依現象が呼び込んでいるものであるということを教えています。  

 正しい信仰心を持ち本来の心に立ち戻ることで、病は消えていくしかないのです。

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